シロアリは木材を内側から食べる昆虫です。外からは気づきにくく、蟻道(土製のトンネル状の筋)・床を叩いたときの空洞音・春先の羽の大量落下などが発見のきっかけになります。放置すると柱や土台が少しずつ失われ、住宅の耐震性に影響が出ることがあります。
対処の判断に迷ったときは、床・柱の音確認や床下の目視は自分でできる範囲、蟻道や症状が一つでも確認できた場合は専門業者に相談する目安になります。このページでは「シロアリとクロアリの見分け方」「種類と分布」「被害サインの確認方法」「業者に相談すべきタイミング」の順で解説します。
シロアリとクロアリの見分け方
シロアリとクロアリは姿が似ているため混同されやすいですが、身体の特徴を確認すると区別できます。特に触覚・羽・胴のくびれの3点が判断の基準になります。

| シロアリ | クロアリ | |
|---|---|---|
| 体色(職アリ) | 乳白色〜白色 | 黒色〜茶褐色 |
| 触覚 | じゅず状でまっすぐ | 「く」の字型に折れ曲がる |
| 羽(羽アリの場合) | 前後4枚がほぼ同じ大きさ。触れると取れやすい | 前羽が大きく後羽が小さい。取れにくい |
| 胴のくびれ | くびれがない(ずん胴) | 腹部がくびれている |
| 分類 | ゴキブリ目(ゴキブリの仲間) | ハチ目(ハチの仲間) |
羽アリの状態で見つけた場合は、窓際や玄関付近に大量の羽が落ちているかどうかも確認してください。シロアリの羽アリは地上に降りると自ら羽を落とす習性があります。クロアリの羽アリは羽が取れにくいため、落ちている羽の量が少ない傾向があります。
羽アリを見つけたときの詳しい判断手順は、羽アリがシロアリか見分けるガイドをご覧ください。
日本にいるシロアリの種類と特徴
日本には22種以上のシロアリが生息しているとされています(公益社団法人日本しろあり対策協会の資料に基づく)。そのうち住宅被害を引き起こすのは主に4種類です。種類によって分布地域・生態・被害の深刻さが異なるため、自宅の地域や被害状況と照らし合わせて確認してください。

| 種類 | 主な分布 | 体の特徴 | 被害の特徴 | 駆除の難易度 |
|---|---|---|---|---|
| ヤマトシロアリ | 北海道南部〜沖縄 (全国に広く分布) | 職アリは乳白色。羽アリは頭部・羽が黒色で胸部に白いライン | 湿った木材を好む。床下・浴室周りに多い | 比較的容易 |
| イエシロアリ | 千葉県以南の太平洋沿岸・南西諸島 | 職アリは乳白色でやや大型。羽アリは黄褐色 | 数百万頭規模のコロニー。水を自ら運べるため乾燥した場所も侵食 | 難しい(本巣が必要) |
| アメリカカンザイシロアリ | 全国に点在(拡大中の外来種) | 職アリは淡黄色〜乳白色。兵アリは頭部が大きく全身の1/3程度 | 乾燥した木材にも生息。輸入家具や建材から広がることがある | やや難しい(広範囲に分散) |
| ダイコクシロアリ | 奄美大島以南の南西諸島 | 職アリは濃い黄褐色 | 乾いた木材を好む。家具・書籍・木製品にも被害が出ることがある | やや難しい |
ヤマトシロアリ

日本全国で最も被害が多い種類です。乾燥に弱く、自分で水を運ぶ能力がないため、湿気を含んだ木材の中で巣(コロニー)を作るのが特徴です。数千〜数万頭規模の比較的小さなコロニーを形成するため、他の種類と比べると駆除はしやすい部類に入ります。
被害が出やすい場所は、浴室・洗面所・台所周辺など水気が多い床下や、雨漏りがある部位です。羽アリは4〜5月の午前中、雨上がりのタイミングに一斉に飛び立つ(群飛:ぐんぴ)ことが多く、これがヤマトシロアリの目撃につながる典型的なケースです。
ヤマトシロアリの生態・被害箇所・駆除方法の詳細は、ヤマトシロアリの特徴と対策をご覧ください。
イエシロアリ

千葉県以南の温暖な地域に分布する種類で、4種の中で最も被害が深刻になりやすいシロアリです。数百万頭規模のコロニーを形成し、自ら水を運ぶ能力を持つため、乾燥した木材や高い位置にある木部にも侵食します。
土中に本巣を作り、そこから蟻道(ぎどう:土でできたトンネル状の通路)を伸ばして分巣をつくります。被害範囲が最大半径100mに達することもあり、本巣の生殖虫を駆除しないと再発するという特徴があります。羽アリは6〜7月の夕方に飛び立ちます。
アメリカカンザイシロアリ・ダイコクシロアリ(外来種)
アメリカカンザイシロアリは北米原産の外来種で、輸入家具や建材に混入して日本に広まったと考えられています。乾燥した木材にも生息できるため、床下だけでなく壁の中や屋根裏など乾燥した箇所も被害箇所になります。現在、全国に点在しており分布は拡大傾向にあります。
ダイコクシロアリは奄美大島以南に生息する在来種ですが、同じく乾材を好む性質があります。これらの乾材シロアリは、在来のヤマトシロアリ・イエシロアリとは生態が異なるため、駆除方法も変わります。
シロアリ被害の初期サインと確認方法
シロアリは木材の内部から食害するため、外から見ただけでは気づきにくいことがほとんどです。以下のサインを手がかりに、自分で確認できる範囲から確認してみてください。

- 蟻道(ぎどう)がある:基礎のコンクリート面や木材表面に、土・砂・排泄物が混ざった茶色いトンネル状の筋が見られる。これが最も分かりやすいシロアリのサイン
- 床を叩くと空洞音がする:フローリングや木材を軽く叩いたとき、詰まった音ではなく「空洞音(コンコン)」がする場合は内部が食害されている可能性がある
- 床がふかふかする・沈む感覚がある:床板の強度が落ちている状態。特に浴室・洗面所・キッチン周辺で感じた場合は要注意
- 羽(翅)が大量に落ちている:春〜初夏に窓際・玄関・照明周辺で同じ大きさの羽が大量に見つかった場合、羽アリが群飛した痕の可能性が高い
- 木材を触ると指が入る・崩れる:表面は正常に見えても、少し力をかけると簡単に崩れる場合はすでに内部が食害されている
ご相談をいただく中でよく見落とされている箇所として、玄関の框(かまち)の内側・浴室の壁際・和室の畳下・床下収納の底板周辺があります。目が届きにくく、普段確認する習慣がない箇所のため、気づかれないことが多い場所です。特に在来工法(タイル張り)の浴室や、和室が1室以上ある築10年以上の住宅では、これらの箇所を一度確認することをおすすめします。
なお、床下への潜入は無理に行わないでください。点検口が小さい・床下に断熱材が施工されている・天井が低くて移動できないといった住宅では、無理な姿勢による転倒やケガ、断熱材の損傷が起きることがあります。懐中電灯で点検口から覗ける範囲で確認できない場合は、専門業者に調査を依頼するほうが安全です。
上記のサインが1つでも当てはまる場合は、早めに床下の確認を行うことをおすすめします。自分で床下に入ることが難しい場合や、サインの意味が判断できない場合は専門業者への相談が適しています。
各症状の写真と詳しい確認手順は、シロアリの初期症状を写真で確認するガイドでまとめています。
シロアリを放置するとどうなるか
シロアリ被害をそのままにしておくと、住宅の木材が少しずつ失われていきます。特に柱・土台・梁といった構造材に被害が及ぶと、建物の耐震性が低下するおそれがあります。
過去の大規模地震における倒壊住宅の調査では、シロアリ被害を受けた木部の損傷が倒壊に影響したとする報告が複数の研究者・専門機関から出ています。ただし被害の程度や影響の大きさは建物の構造・築年数・被害箇所によって異なるため、一概に断定はできません。「今すぐ目に見える問題がない」と感じていても、内部では食害が進んでいる可能性があります。
また、被害が広範囲に及んでから駆除を行う場合は、工事の規模と費用が大きくなる傾向があります。早い段階で発見・対処するほど、修繕範囲も費用も抑えられます。
自分でできる確認と、業者に相談する目安
シロアリの確認はすべてを業者に任せなければならないわけではありません。以下を参考に、自分でできる範囲と、専門業者に判断を委ねた方がよい場面を整理してください。
自分で確認できる範囲
- 床・柱・壁を叩いて音を確認する
- 浴室・洗面所・玄関周辺の床の沈みを確認する
- 床下点検口から懐中電灯で土台・束柱を目視確認する
- 基礎立ち上がり・木材表面に蟻道がないか確認する
- 窓際・玄関に羽が落ちていないか確認する
業者に相談する目安
- 床下に入れない・点検口がない
- 蟻道・空洞音・床の沈みなど、上記の被害サインが1つでも当てはまった
- 羽アリが室内から大量に出た
- 前回の防蟻処理から5年以上経過している
- 中古住宅を購入したが、過去の防蟻履歴が不明
業者への相談は「被害が確定してから」ではなく「不安がある段階」でも問題ありません。当社の現地調査でも、「何もなかった」という結果で終わるケースは少なくありません。調査の結果として「異常なし」を確認できること自体が、安心して住み続けるための判断材料になります。
状況別の行動目安
| 状況 | 主な判断ポイント | 目安の行動 |
|---|---|---|
| すぐに相談する | 蟻道を確認した/床が沈む・空洞音がする/室内から羽アリが大量に出た/木材に指が入る・崩れる感触がある | 被害が進行している可能性があるため、早めに現地調査を依頼する |
| 近日中に点検する | 前回の防蟻処理から5年以上経過している/中古住宅で防蟻履歴が不明/床下点検口がなく自分では確認できない/浴室・洗面所周辺が気になる | 被害の有無が確認できていない状態。調査を依頼して現状を把握しておく |
| 定期確認で様子を見る | 防蟻処理が5年以内で有効期限内/床下を自分で確認して異常なし/床・柱に異音・異変なし | 現時点では緊急性は低い。次回処理の時期を把握しておき、年1回程度の目視確認を続ける |
シロアリ被害を防ぐ3つの対策
シロアリは地中のどこにでも生息している昆虫です。「うちは大丈夫」と思っていても、土の上に建てた木造住宅である以上、まったく無縁ではありません。以下の3つが対策の基本です。
- 新築時の防蟻処理
建築基準法施行令第49条により、木造住宅の地面から1m以内の木部には防腐・防蟻措置が義務づけられています。ただし使用する薬剤の効果持続期間は施工方法・薬剤の種類・環境条件によって異なり、日本しろあり対策協会の基準では再施工の目安をおおむね5年としています。 - 5年を目安とした定期メンテナンス
新築から5年が経過したら、防蟻処理の再施工を検討するタイミングです(業界団体の推奨目安。実際の施工間隔は使用薬剤・工法・環境により異なります)。まだ被害がない状態であっても、予防的に処理しておくことで被害リスクを下げられます。 - 湿気・雨漏りを放置しない
シロアリは湿った環境を好みます。床下の換気不良・雨漏り・水回りの水漏れを放置することは、シロアリを呼び込む環境を作ることになります。住宅の湿気対策もシロアリ予防の一部です。
駆除・予防工事にかかる費用の目安は、シロアリ駆除費用の相場で解説しています。
よくある質問
- シロアリは自分で駆除できますか?
- 市販の殺虫スプレーでシロアリを見かけた場所に噴霧することは可能ですが、コロニー全体を駆除することはほぼできません。スプレーでコロニーの一部を散らすだけになることが多く、残ったシロアリが別の場所に分散して被害範囲が広がるリスクがあります。蟻道や被害を確認した場合は、業者による床下からの処理が基本です。
- シロアリがいるかどうか、見た目だけで判断できますか?
- 職アリ(働きアリ)は木材の内部や土の中にいるため、表面から目視で確認することは通常できません。蟻道・空洞音・床の沈みといった間接的なサインから判断するのが現実的です。疑いがある場合は、床下の目視確認または業者による調査が確実です。
- 鉄骨造やRC造でもシロアリ被害に遭いますか?
- はい、可能性があります。鉄骨造・RC造でも室内に木材を使用している箇所(床組・内装材・建具周辺など)はあり、そこが被害を受けることがあります。また、アメリカカンザイシロアリは乾いた木材にも侵入するため、構造形式を問わず注意が必要です。
- 新築でもシロアリは出ますか?
- 出ることがあります。新築時に防蟻処理を施していても、薬剤効果が切れる5年前後から被害リスクが高まります。また、施工時のわずかな隙間や換気不良があると、それより早く侵入されるケースもあります。新築だから大丈夫という前提は持たず、5年を目安に点検・再処理を行うことが重要です。
- 駆除後も再発しますか?
- 駆除後も、薬剤効果が切れた後や別のコロニーが侵入することで再発する可能性はゼロではありません。特にイエシロアリは本巣が広範囲にあるため、駆除後の経過確認が重要です。駆除施工後は保証期間内の定期確認と、期間終了後の再処理を計画的に行うことが再発防止につながります。
まず現地を確認するところから
「症状があるかもしれない」「前回の処理から5年以上経っている」という場合は、現地調査だけでも受け付けています。調査の結果、問題がなければそれで終わりです。気になる方はお気軽にご相談ください。











