家の中で羽アリを見つけたとき、「もしかしてこの家、もう売れないのでは?」と不安になる方は少なくありません。特に、マイホームの売却や査定を考えている場合、その不安は大きくなります。
この記事では、羽アリが出た家でも本当に売却できるのか、不動産の価値にどう影響するのかを、住宅売買とシロアリ対策の専門的視点からわかりやすく解説します。売却前に行うべき具体的な調査や準備についても紹介しますので、不安を感じた方はぜひご一読ください。
羽アリ=シロアリとは限らないが、売却前には確認すべき
羽アリが出た=すぐに家が売れなくなる、というわけではありません。ただし、羽アリがシロアリの可能性がある以上、住宅の安全性や資産価値に関わる問題として扱われます。
多くの買主や不動産会社は、「羽アリが出た」という事実がある場合、念のために建物の状態を確認したがるものです。購入後に高額な修繕費用が発生するリスクを避けるためです。
売却前にすべき第一歩は「事実の把握」
不動産売却時に一番避けたいのは、「知らなかった」が通用しないトラブルです。まずは以下の点をチェックしましょう。
- 羽アリが出た場所・時期・頻度
- 木材部分に異常はあるか(床がきしむ、柱がもろい など)
- 羽アリが1回きりか、毎年発生しているか
こうした情報をメモしておくことで、後々の調査や説明にも役立ちます。
重要なのは「専門業者による点検」と「報告書の提出」
不動産会社や買主が本当に気にするのは、「羽アリが出たこと」ではなく「ちゃんと調査・対処されたかどうか」です。
信頼できるシロアリ専門業者に依頼し、点検結果の報告書や、必要な処置がされている証明書を提出することで、買主側の不安を和らげられます。
なぜ報告書が大切なのか?
羽アリが出たことを正しく伝えるには、「ちゃんと調査しました」と証明できる書類が必要です。それが、シロアリ業者が発行する報告書です。
- 状況が正確に伝わる
- 買主の安心材料になる
- 査定額のマイナス評価を防げる
- トラブル時の証拠としても使える
報告書があれば、買主に安心してもらいやすくなり、信頼できる物件として前向きに検討してもらえます。
告知義務を怠ると契約解除・損害賠償のリスクも
不動産売却では、売主には「告知義務(重要な事実を買主に伝える義務)」があります。シロアリ被害の可能性を知っていたにもかかわらず伝えなかった場合、売買契約の解除や損害賠償請求につながることもあります。
羽アリを見かけたら「まず調査し、知っていることを正直に伝える」ことが、結果的に自分を守ることにもなります。
羽アリが出た家の査定額はどうなる?
羽アリの出現だけで、すぐに査定額が大きく下がるとは限りません。実際には、以下のようなポイントを見られます。
評価ポイント | 査定への影響 |
---|---|
被害の有無 | 被害なしなら影響は小さい |
調査・証明書の有無 | あり:信頼感アップ/なし:不安要素 |
修繕・駆除の有無 | 適切な対応がされていれば問題視されにくい |
売主の対応 | 隠さず開示する方が評価されやすい |
「羽アリが出た=価値が下がる」とは限らず、対応の仕方次第で十分に売却は可能です。
売却を考えているなら「伝え方」と「準備」がカギ
羽アリが出たことを不安に思うのは当然です。ただし、それを「隠す」のではなく、「正確に調べて、適切に伝える」ことが大切です。
売却前にやるべき3ステップ
売却前に不安を感じているなら、まずは次の3つのステップを実行してみましょう。どれも難しいことではなく、安心して売却を進めるための基本です。
- 羽アリの発生状況を記録する
- 専門業者に点検を依頼する
- 調査結果と対応状況を資料として準備する
この3つをしっかり行えば、買主との信頼関係を築く助けになります。売却をスムーズに進めるためにも、事前の準備がとても大切です。
まとめ:羽アリが出た家でも、誠実な対応で売却は可能
羽アリが出たからといって、家が売れなくなるとは限りません。大切なのは、「問題があったかどうか」よりも「それにどう向き合ったか」です。
- 買主は「きちんと調査されているか」「安心して住めるか」を重視
- 売主は「情報を隠さず開示することで信頼される」
不安なまま売却に進むのではなく、まずは現状を把握し、正しい準備を整えておきましょう。
羽アリの駆除費用に関するよくある質問
- 羽アリが出た家は査定価格がどれくらい下がりますか?
- 被害の範囲や対応状況によります。適切に調査・修繕された記録があれば、価格への影響は最小限で済むことが多いです。一方、被害が放置されていると、買主から「将来の修繕費用」を理由に数十万円〜100万円以上の値下げ交渉が起こることもあります。
- 羽アリの出現は売却時に必ず告知しなければなりませんか?
- はい。羽アリがシロアリ被害の可能性を示す以上、売主には告知義務があります。たとえ修繕済みでも、過去に被害があったと知っていた場合は必ず買主に伝え、書面に記載する必要があります。伝えなかった場合、契約解除や損害賠償のリスクが発生します。
- 羽アリが出た家でも高く売る方法はありますか?
- あります。専門業者によるインスペクション調査、駆除・修繕、写真や報告書を用いた記録提示が有効です。これにより「安心できる家」として買主の信頼を得られ、査定価格へのネガティブ影響を抑えやすくなります。
- 羽アリを隠して売却するとどうなる?
- 買主に羽アリ発生の事実を隠して売却すると、「契約不適合責任」が発生する可能性があります。これは、買主からの契約解除や損害賠償請求といった重大な法的トラブルにつながるため、正確な告知一択です。
- シロアリ被害のある家は市場で売れにくいですか?
- 通常、一般的な仲介による販売では売却までに時間がかかる傾向があります。しかし、古家付き土地として売るまたは買取業者に現状売却することで、早期に手放せる選択肢もあります。これらは、修繕不要で契約責任を軽減できるメリットがあります。