家の中で羽アリを見かけたら「シロアリかも!」とパニックを起こしてしまう方もいますが、しかし一番大切なのは、落ち着いてその羽アリの種類を見分けることです。万一、シロアリの羽アリだったとしても、すぐに家が傾くことはありませんし、数日で被害が急激に進行することもありません。落ち着いて応急処置を行いましょう。
- 羽アリとシロアリの違いは何ですか?
- 羽アリは黒や茶色で胴体がくびれており、アリの仲間です。一方シロアリは白っぽく寸胴で、翅も同じ長さです。見た目を間違えると駆除の判断を誤るため注意が必要です 。
- 家の中で羽アリを見たらシロアリ被害でしょうか?
- 羽アリを室内で大量に見かけた場合、シロアリが床下や壁内に巣を作っている可能性が高いです。放置すると木材被害が拡大するため、早めに専門業者へ相談するのが安全です 。
- 羽アリの発生時期はいつですか?
- 羽アリの発生時期は種類ごとに異なります。ヤマトシロアリは4〜5月、イエシロアリは6〜7月、アメリカカンザイシロアリは夏から秋に飛び立つのが特徴です 。
羽アリの発生時期と特徴
シロアリの羽アリは種類によって発生時期が異なります。例えば、ヤマトシロアリは4月から5月、イエシロアリは6月から7月に発生します。発生する日は、蒸し暑く、風が少ない晴れた日の午前中や夕方に発生しやすいです。
羽アリの特徴としては、夜間に光に集まる習性があるため、夕方から夜にかけて明るい場所に集まりやすいです。特に室内の明かりに引き寄せられやすいので、窓や網戸のメッシュを細かくすることが予防に効果的です。
羽アリを見つけたらまず確認すること
羽アリにはシロアリとクロアリの2種類があります。シロアリは家を食い荒らすほどの甚大な被害をもたらすため、放っておくと大変なことになります。一方のクロアリだった場合は、木くずを食べるくらいでそこまで大した被害はありません。そのため羽アリが「クロアリ」なのか「シロアリ」なのかをまず確認してください。秋に発生する羽アリはクロアリの仲間であることが多いです。
シロアリ | クロアリ | |
---|---|---|
発生時期 | ヤマトシロアリ:4月中旬~5月 イエシロアリ:6月~8月 | 5月~11月に複数の種類が発生 |
胴体の特徴 | くびれなし(寸胴) | 頭部・胸部・腹部にくびれあり |
羽の特徴 | 前後の羽の大きさが同じ。室内に入ったあとに羽が取れる。 | 頭部に近い羽が長く、お尻に近い羽は短い。羽は取れない。 |
シロアリの羽アリとクロアリの羽アリの見分け方は、上記の通りです。詳しくは「シロアリと黒ありの見分け方」の記事に画像付きで解説しています。
羽アリが大量に発生する原因
シロアリの羽アリが大量発生するのは「新しい巣を作るため」です。シロアリの数が増えすぎて巣が飽和状態になり、新しい巣を作る「分巣行動(巣分かれ)」の時期に大量の羽アリが出てきます。
シロアリは普段、床下など高温多湿な場所に巣を作り生活していますが、巣の中の個体数が一定数を超えると、繁殖するための活動範囲を広げようと一部が羽アリとなり飛び立ちます。</p
シロアリの羽アリは飛ぶ能力が弱く、実質100メートルほどの距離を滑空することしかできません。地上に降り立ったら羽を落とし、ペアを見つけて地中に潜り新しい巣を作ります。部屋にシロアリの羽アリがいたり、大量に羽が落ちている場合は近くで巣を作っている可能性が高いです。
羽アリはどこからくる?
シロアリは気温や湿度が高い場所を好むため、羽アリも湿気のある時期・場所に発生しやすいです。
床下や敷地内の巣から
羽アリは繁殖期を迎えると、飽和状態になった巣から飛び出し、新たな巣を作るために家の中に入って来ることがあります。この場合は敷地内や床下に古い巣があり、シロアリによる食害や蟻道(ぎどう)と呼ばれるシロアリが活動した形跡が残ります。
蟻道は、土や羽アリの分泌物で塗り固めてできたトンネルです。この蟻道を通って巣にエサや水を運ぶため、蟻道の近くに巣があることが多いです。なお、蟻道を無理に壊すと、中から大量の羽アリが発生して散らばる可能性があります。蟻道を見つけたらシロアリの専門業者に相談しましょう。
シロアリは浴室やキッチンなどの水回り付近や、家屋の床下土台・周辺の庭木など、湿度がこもりやすく老朽化した木材の近くに巣を作ります。その理由はシロアリが木材を餌としており、暖かく湿気のある暗い場所を好むためです。
窓や通気口の隙間から侵入する
敷地内に巣がない場合でも、窓や通気口などの隙間から羽アリが侵入してくることがあります。シロアリの羽アリでる時期は気温が上がる春から夏にかけてが多いため、換気のために開けておいた玄関や窓・ベランダなどからの侵入が多いです。人の衣服などに付着して入って来ることもあります。
また、羽アリは光に集まる習性があるため、特に夜間などは明るい部屋の窓や網戸に群がります。特に夏場にかけて群飛するイエシロアリは、夕方から夜にかけてが主な活動時間なので、電灯の光に引き寄せられてマンションの共用部分やベランダに集まることがあります。
羽アリが出ているときの応急処置と注意点
羽アリが発生するとその量に驚くと思いますが、まずは落ち着いてください。毒があるわけでもなく、人間に攻撃を仕掛けてくるわけでもありません。重要なのは慌てず、被害を拡大させない初期対応を行うことです。
やってしまいがちなのが羽アリに向かって殺虫剤を吹きかけてしまうことです。市販されている殺虫剤の多くは、忌避剤(きひざい)と呼ばれる虫が嫌がって避ける成分が入っているため、殺虫剤を吹き付けた場所のシロアリは駆除できますが、生き残ったシロアリたちは建物の目に見えない箇所に逃げこんでしまい、その後の完全な駆除が困難になります。
羽アリに向けて殺虫剤を噴霧しないでください
羽アリが出てきている穴にスプレーをしたり、熱湯をかけたりは決して行わないでください。発生箇所に殺虫剤などをスプレーしてしまうと、危険を察知した羽アリやシロアリが進行方向を変えるため、かえって被害範囲を広げる恐れがあります。
結果として、別な場所で羽アリが出入りを始めるので被害箇所が広がってしまい、調査や駆除が困難になってしまうので、出来るだけ放置し、必要なら発生箇所をテープで塞ぐなどの応急処置をしましょう。
そこで殺虫剤を使わない、正しい応急処置のやり方を3点ご紹介します
掃除機で羽アリを吸い込む
紙パック式の掃除機があるなら、掃除機で羽アリを吸い込んでしまうのがもっとも簡単な応急処置方法です。発生している羽アリを掃除機で吸い込むだけです。羽アリは掃除機で吸いこまれるときの圧力で死滅します。
ガムテープで羽アリの侵入経路を塞ぐ
また、掃除機で吸い込むのが難しい箇所はガムテープが使えます。ドアの枠や玄関の框(かまち)など、羽アリが出入りしている隙間にガムテープを貼ることで、羽アリの侵入を塞ぐことができます。
ポリ袋でまとめて捕まえる
隙間が大きすぎてガムテープで塞げない場合は、発生場所を覆うようにやビニール袋(ポリ袋)をかぶせて、羽アリが溜まるようにしてください。羽アリが大量に発生しているドア枠や食害箇所には有効です。ある程度たまったら口を結んで捨てて、また新しいビニール袋に取り替えてください。
これらの方法はあくまでも応急処理です。シロアリを巣ごと駆除するには、しろあり防除士の資格をもった専門家に相談してください。可能であれば「羽アリ」や「羽」をビニール袋で保存しておくと、後日専門家が調査をした時に、すぐに判別できるので役立ちます。
羽アリの予防対策
業者に駆除してもらった後も、再び羽アリに悩まされないために予防対策を行いましょう
- 夜間はカーテンで遮光する
- 腐った木材を腐放置しない
- 水漏れや雨漏りを放置しない
夜間はカーテンで遮光する
羽アリは光に集まる習性があるので、夜間に家の中の光がもれてしまうと網戸もすり抜けて侵入することがあります。そのため家の明かりがもれないように、しっかりと遮光をすることで侵入を防ぐことができます。
腐った木材を腐放置しない
羽アリは腐った木材が好物です。つまり、庭などに木材を放置したままにしてしまい、それが腐ってしまうと格好の標的になってしまいます。庭木の切り株なども放置するとシロアリの巣ができやすいので、不要な切り株は抜根しておきましょう。
水漏れや雨漏りを放置しない
シロアリは湿度の高い場所に集まります。トイレやお風呂、キッチンなど水気をそのままにしてしまっていたらそこにはシロアリがやってくる可能性が高まります。また、雨漏りにも気をつけて下さい。湿気に加えて濡れた木材は最もシロアリの好む物になります。
羽アリに似た虫「クロバネキノコバエ」
羽アリと間違われやすい虫の代表例として「クロバネキノコバエ」や「メイガ」などの昆虫がいます。これらは建物に被害をもたらすことはありませんのでご安心ください。
クロバネキノコバエ
よくある質問
羽アリに関するよくある質問
羽アリはいつ発生しやすいですか?
種類と気象条件で時期が異なります。ヤマトシロアリは4〜5月、イエシロアリは6〜7月に群飛し、蒸し暑く風が弱い晴天の午前や夕方に起きがちです。時期を把握すると早期発見と省エネ運用に役立ちます。
家の中で羽アリを見たらシロアリ被害の可能性はありますか?
大量発生なら可能性が高いです。床下や壁内に巣があると木材の劣化が進み、耐久性や冷暖房効率へ負の影響が出ます。早期に専門業者へ相談し、故障や修繕費の増大を抑えましょう。
羽アリが大量発生する主な原因は何ですか?
巣の飽和による分巣行動です。個体数が増え新しい巣を作る段階で群飛が起きます。湿気や腐朽木がある住環境は発生を助長するため、清掃と湿度管理で効率的に予防しましょう。
羽アリと間違えやすい虫はありますか?
クロバネキノコバエやメイガと誤認しやすいです。これらは建物を食害しません。誤判定で不要な駆除をすると費用や手間が無駄になるため、特徴を確認し効率よく対処しましょう。
羽アリを見つけた直後の初動は何をすべきですか?
慌てず種類の確認と応急処置です。クロアリなら被害は限定的ですが、シロアリは構造材を食害します。数日で家が傾くことはないため落ち着き、点検と清掃を行い専門家に相談しましょう。
羽アリの侵入を防ぐ実用的な方法はありますか?
遮光と環境改善が有効です。夜はカーテンで光漏れを防ぎ、網戸の目を細かくします。腐った木材や切り株を処分し、水漏れ・雨漏りを修繕すると再侵入を抑え、住宅の寿命延長にもつながります。
羽アリは自分で駆除できますか?
表面的な駆除は可能ですが限界があります。巣の根絶は難しく、放置や不十分な対処は被害拡大や設備故障のリスクを高めます。効率よく根本解決するには、専門業者の点検・処理が安全です。
どのタイミングで業者に依頼すべきですか?
室内で複数個体を確認した時点で相談が適切です。木材の食痕や羽の落ち殻があれば要注意です。早期対応は修繕費や電気代の増加を抑え、省エネと家の健全性を守ります。
駆除後の再発を防ぐには何を続ければよいですか?
湿気管理と資材管理を継続します。遮光、木材・切り株の撤去、水漏れ・雨漏りの修繕を習慣化しましょう。住環境の清掃を徹底すれば、長期の再発抑制と省エネ運用に寄与します。
まとめ|自分で羽アリを駆除するには限界がある
この記事では、羽アリが大量発生する理由や、発生しやすい条件、また自分で出来る対処方法などを紹介してきました。シロアリにせよクロアリにせよ、羽アリが大量発生しているということは、家の中で繁殖している可能性があります。自分での駆除だけでは限界があるので、早急に駆除業者に連絡をして、根本的に対処しましょう。
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