柱の根元や床下収納の周辺、家具の隙間などに、砂粒のような小さな粒が落ちている場合、それはアメリカカンザイシロアリなど乾材シロアリのふんである可能性があります。日本で被害の多いヤマトシロアリやイエシロアリは、ふんを巣の材料として使うため、室内にふんだけが単独で落ちることはほとんどありません。つまり、砂粒状のふんが見つかったこと自体が、乾材シロアリを疑う数少ない手がかりになります。
このページでは、ふんの特徴、木くずや他の虫の糞との見分け方、見つけたときにやるべきことを写真つきで解説します。蟻道や羽アリなど他のサインもあわせて確認したい方はシロアリ被害の初期症状、全体的なセルフチェックをしたい方はシロアリ被害のセルフチェックもあわせてご覧ください。

シロアリのふんの特徴|大きさ・形・硬さ・色
乾材シロアリのふんには、他のゴミや虫の糞と区別しやすい特徴がいくつかあります。1つだけで判断せず、複数の特徴を組み合わせて確認してください。
大きさは0.5〜1mm程度、俵型で縦に筋がある

乾材シロアリのふんは、長径約1mm程度の粒で、俵のような形をしています。表面には縦に6本の筋が入っており、木くず(フラス)のような繊維状の見た目とは異なります(参考:一般社団法人日本アメリカカンザイシロアリ対策協会)。
指でつぶしても潰れないほど硬い
乾材シロアリは、食べた木材の水分をほとんど残さずふんとして排出するため、ふん自体がしっかりと乾燥して硬くなっています。指で軽く押した程度では潰れません。粉状に潰れる木くずや、柔らかいゴミとの違いを確認するポイントです。
色はベージュ〜こげ茶。食べた木材によって変わる
色は黄色からこげ茶まで幅があり、食べた木材の色によって変わります。複数の色の粒が混ざって落ちていることもあります。色だけで種類を断定することはできないため、大きさや形とあわせて確認してください。

ふんは、乾材シロアリが木材内部にあけた「糞孔(ふんこう)」と呼ばれる小さな穴から排出されます。加害箇所の真下に、盛り塩のようにまとまって積もっているのが見つかることもあります。
シロアリの種類によって、ふんの出方が違う
「シロアリのふんが室内で見つかるかどうか」は、シロアリの種類によって大きく異なります。この違いを知っておくと、ふんの有無から種類の見当をつけやすくなります。
乾材シロアリ(アメリカカンザイシロアリなど)は木材の外にふんを出す
アメリカカンザイシロアリなどの乾材シロアリは、床下だけでなく建物内部の乾いた木材(柱、家具、床材など)に直接侵入し、食べた木材を内部にためずに、糞孔から外部へ排出します。そのため、被害箇所の下に粒状のふんが積もっているのが見つかることがあります。
ヤマトシロアリ・イエシロアリはふんを外に出さない
日本で被害の多いヤマトシロアリやイエシロアリは、ふんを土や唾液と混ぜて蟻道を作ったり、巣の壁を補強したりする材料として再利用します。そのため、室内に砂粒状のふんだけが単独で落ちることはほとんどありません。これらの種類は、蟻道や羽アリなど別のサインで気づくケースが大半です。
種類別・ふんの出方
| 種類 | ふんを外に出すか | 見つかりやすい場所 |
|---|---|---|
| アメリカカンザイシロアリ(乾材シロアリ) | 出す | 柱の根元、家具の隙間、床下収納まわり |
| ヤマトシロアリ | 出さない(蟻道の材料にする) | 基礎・土台まわりの蟻道、羽アリ |
| イエシロアリ | 出さない(巣の材料にする) | 基礎・土台まわりの蟻道、羽アリ |
シロアリのふんと紛らわしいものの見分け方
砂粒状の粒は、シロアリのふん以外にも、木くずや他の虫の糞であることがあります。次の比較表を参考に、落ちている粒の特徴を確認してください。

シロアリのふんと紛らわしいものの比較表
| 区分 | 大きさ・形 | 硬さ | 主な発生場所 |
|---|---|---|---|
| シロアリのふん(乾材シロアリ) | 0.5〜1mm、俵型で縦筋あり | 硬く、指でつぶれにくい | 柱の根元、家具の隙間、床下収納まわり |
| 木くず(フラス) | 繊維状で粒がそろっていない | 柔らかく崩れやすい | 木材表面の小さな穴の周辺 |
| キクイムシの糞 | 粉状で非常に細かい | さらさらして崩れやすい | 木材表面の小さな穴(フラス孔)の下 |
| シバンムシの糞 | 粒がさらに細かく粉に近い | さらさらして崩れやすい | 畳、乾燥食品、木材周辺 |
| ネズミなど害獣の糞 | 1mmを超えることが多く、細長い | やわらかい〜半乾燥 | 天井裏、壁の中、床下の広い範囲 |
シロアリ調査の現場では、粒の大きさ・形・硬さに加えて、周辺に蟻道や食害跡がないかもあわせて確認します。写真だけで種類を断定するのは難しいため、粒を実際に採取して業者へ見せると、より正確な判断につながります。
シロアリのふんを見つけたときにやるべきこと
ふんらしきものを見つけたら、次の順番で対応すると、業者に状況を伝えやすくなります。
- 掃除機で吸わず、そのままの状態を写真に記録する
- 可能であれば、ふんを少量、袋や容器に採取して保管する
- 市販の殺虫スプレーをかけない(被害範囲の判断が難しくなります)
- 発生している場所と、量がどの程度かを確認する
- 自分で種類の判断がつかない場合は、専門業者に相談する
ふんの量が少しであっても、木材内部では食害が進んでいる場合があります。見つけた粒の量だけで被害の大きさを判断せず、気になる場合は早めに専門家へ相談してください。
このサインは、シロアリ被害のどのレベル?
ふんは、乾材シロアリに気づくための代表的なサインの一つですが、これだけで被害の全体像は分かりません。蟻道や羽アリなど、他のサインもあわせて確認すると、被害の可能性をより正確に把握できます。
シロアリ被害全体の初期症状を確認したい方はシロアリ被害の初期症状、住まい全体を一通りチェックしたい方はシロアリ被害のセルフチェックをあわせてご覧ください。シロアリの生態や種類ごとの違いについてはシロアリの基礎知識で解説しています。
よくある質問
- ふんの量が少なければ、被害も軽いということですか?
- ふんの量と被害の範囲は必ずしも一致しません。ふんが少量でも、木材内部では食害が進んでいる場合があります。量だけで被害の程度を判断せず、気になる場合は専門業者に相談してください。
- 賃貸物件でふんを見つけた場合はどうすればいいですか?
- 自己判断で駆除を進める前に、管理会社または貸主へ連絡してください。建物の構造部分に関わる対応は、貸主側の判断が必要になることがあります。
- ふんの写真だけで、シロアリの種類を特定してもらえますか?
- 形や大きさが明確に写っていれば、業者へ相談する際の参考資料にはなります。ただし、写真だけで種類や被害範囲まで正確に判断するのは難しいため、実物を保管しておくと、より確実な判断につながります。
ふんに気づいたら、早めに専門家へ相談を
ここまで、シロアリのふんの特徴、木くずや他の虫の糞との見分け方、見つけたときの対処法を紹介しました。砂粒状のふんは、ヤマトシロアリやイエシロアリでは見られにくく、乾材シロアリに気づくための貴重な手がかりです。
ふんらしきものを見つけた場合は、写真や実物を保管したうえで、シロアリ調査の専門スタッフによる現地診断をご検討ください。











