家の中で羽アリを見かけたら「シロアリかも!」とパニックを起こしてしまう方もいますが、しかし一番大切なのは、落ち着いてその羽アリの種類を見分けることです。万一、シロアリの羽アリだったとしても、すぐに家が傾くことはありませんし、数日で被害が急激に進行することもありません。落ち着いて応急処置を行いましょう。
シロアリの羽アリは種類によって発生時期が異なります。例えば、ヤマトシロアリは4月から5月、イエシロアリは6月から7月に発生します。発生する日は、蒸し暑く、風が少ない晴れた日の午前中や夕方に発生しやすいです。
羽アリの特徴としては、夜間に光に集まる習性があるため、夕方から夜にかけて明るい場所に集まりやすいです。特に室内の明かりに引き寄せられやすいので、窓や網戸のメッシュを細かくすることが予防に効果的です。
羽アリにはシロアリとクロアリの2種類があります。シロアリは家を食い荒らすほどの甚大な被害をもたらすため、放っておくと大変なことになります。一方のクロアリだった場合は、木くずを食べるくらいでそこまで大した被害はありません。そのため羽アリが「クロアリ」なのか「シロアリ」なのかをまず確認してください。秋に発生する羽アリはクロアリの仲間であることが多いです。
シロアリ | クロアリ | |
---|---|---|
発生時期 | ヤマトシロアリ:4月中旬~5月 イエシロアリ:6月~8月 |
5月~11月に複数の種類が発生 |
胴体の特徴 | くびれなし(寸胴) | 頭部・胸部・腹部にくびれあり |
羽の特徴 | 前後の羽の大きさが同じ。室内に入ったあとに羽が取れる。 | 頭部に近い羽が長く、お尻に近い羽は短い。羽は取れない。 |
シロアリの羽アリとクロアリの羽アリの見分け方は、上記の通りです。詳しくは「シロアリと黒ありの見分け方」の記事に画像付きで解説しています。
シロアリの羽アリが大量発生するのは「新しい巣を作るため」です。シロアリの数が増えすぎて巣が飽和状態になり、新しい巣を作る「分巣行動(巣分かれ)」の時期に大量の羽アリが出てきます。
シロアリは普段、床下など高温多湿な場所に巣を作り生活していますが、巣の中の個体数が一定数を超えると、繁殖するための活動範囲を広げようと一部が羽アリとなり飛び立ちます。
シロアリの羽アリは飛ぶ能力が弱く、実質100メートルほどの距離を滑空することしかできません。地上に降り立ったら羽を落とし、ペアを見つけて地中に潜り新しい巣を作ります。部屋にシロアリの羽アリがいたり、大量に羽が落ちている場合は近くで巣を作っている可能性が高いです。
シロアリは気温や湿度が高い場所を好むため、羽アリも湿気のある時期・場所に発生しやすいです。
羽アリは繁殖期を迎えると、飽和状態になった巣から飛び出し、新たな巣を作るために家の中に入って来ることがあります。この場合は敷地内や床下に古い巣があり、シロアリによる食害や蟻道(ぎどう)と呼ばれるシロアリが活動した形跡が残ります。
蟻道は、土や羽アリの分泌物で塗り固めてできたトンネルです。この蟻道を通って巣にエサや水を運ぶため、蟻道の近くに巣があることが多いです。なお、蟻道を無理に壊すと、中から大量の羽アリが発生して散らばる可能性があります。蟻道を見つけたらシロアリの専門業者に相談しましょう。
シロアリは浴室やキッチンなどの水回り付近や、家屋の床下土台・周辺の庭木など、湿度がこもりやすく老朽化した木材の近くに巣を作ります。その理由はシロアリが木材を餌としており、暖かく湿気のある暗い場所を好むためです。
敷地内に巣がない場合でも、窓や通気口などの隙間から羽アリが侵入してくることがあります。シロアリの羽アリでる時期は気温が上がる春から夏にかけてが多いため、換気のために開けておいた玄関や窓・ベランダなどからの侵入が多いです。人の衣服などに付着して入って来ることもあります。
また、羽アリは光に集まる習性があるため、特に夜間などは明るい部屋の窓や網戸に群がります。特に夏場にかけて群飛するイエシロアリは、夕方から夜にかけてが主な活動時間なので、電灯の光に引き寄せられてマンションの共用部分やベランダに集まることがあります。
羽アリが発生するとその量に驚くと思いますが、まずは落ち着いてください。毒があるわけでもなく、人間に攻撃を仕掛けてくるわけでもありません。重要なのは慌てず、被害を拡大させない初期対応を行うことです。
やってしまいがちなのが羽アリに向かって殺虫剤を吹きかけてしまうことです。市販されている殺虫剤の多くは、忌避剤(きひざい)と呼ばれる虫が嫌がって避ける成分が入っているため、殺虫剤を吹き付けた場所のシロアリは駆除できますが、生き残ったシロアリたちは建物の目に見えない箇所に逃げこんでしまい、その後の完全な駆除が困難になります。
羽アリに向けて殺虫剤を噴霧しないでください
羽アリが出てきている穴にスプレーをしたり、熱湯をかけたりは決して行わないでください。発生箇所に殺虫剤などをスプレーしてしまうと、危険を察知した羽アリやシロアリが進行方向を変えるため、かえって被害範囲を広げる恐れがあります。
結果として、別な場所で羽アリが出入りを始めるので被害箇所が広がってしまい、調査や駆除が困難になってしまうので、出来るだけ放置し、必要なら発生箇所をテープで塞ぐなどの応急処置をしましょう。
そこで殺虫剤を使わない、正しい応急処置のやり方を2点ご紹介します
紙パック式の掃除機があるなら、掃除機で羽アリを吸い込んでしまうのがもっとも簡単な応急処置方法です。発生している羽アリを掃除機で吸い込むだけです。羽アリは掃除機で吸いこまれるときの圧力で死滅します。
また、掃除機で吸い込むのが難しい箇所はガムテープが使えます。ドアの枠や玄関の框(かまち)など、羽アリが出入りしている隙間にガムテープを貼ることで、羽アリの侵入を塞ぐことができます。
隙間が大きすぎてガムテープで塞げない場合は、発生場所を覆うようにやビニール袋(ポリ袋)をかぶせて、羽アリが溜まるようにしてください。羽アリが大量に発生しているドア枠や食害箇所には有効です。ある程度たまったら口を結んで捨てて、また新しいビニール袋に取り替えてください。
これらの方法はあくまでも応急処理です。シロアリを巣ごと駆除するには、しろあり防除士の資格をもった専門家に相談してください。可能であれば「羽アリ」や「羽」をビニール袋で保存しておくと、後日専門家が調査をした時に、すぐに判別できるので役立ちます。
業者に駆除してもらった後も、再び羽アリに悩まされないために予防対策を行いましょう
羽アリは光に集まる習性があるので、夜間に家の中の光がもれてしまうと網戸もすり抜けて侵入することがあります。そのため家の明かりがもれないように、しっかりと遮光をすることで侵入を防ぐことができます。
羽アリは腐った木材が好物です。つまり、庭などに木材を放置したままにしてしまい、それが腐ってしまうと格好の標的になってしまいます。庭木の切り株なども放置するとシロアリの巣ができやすいので、不要な切り株は抜根しておきましょう。
シロアリは湿度の高い場所に集まります。トイレやお風呂、キッチンなど水気をそのままにしてしまっていたらそこにはシロアリがやってくる可能性が高まります。また、雨漏りにも気をつけて下さい。湿気に加えて濡れた木材は最もシロアリの好む物になります。
羽アリと間違われやすい虫の代表例として「クロバネキノコバエ」や「メイガ」などの昆虫がいます。これらは建物に被害をもたらすことはありませんのでご安心ください。
クロバネキノコバエ
この記事では、羽アリが大量発生する理由や、発生しやすい条件、また自分で出来る対処方法などを紹介してきました。シロアリにせよクロアリにせよ、羽アリが大量発生しているということは、家の中で繁殖している可能性があります。自分での駆除だけでは限界があるので、早急に駆除業者に連絡をして、根本的に対処しましょう。
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1968年愛知生まれ。一部上場マンション・ハウスメーカーからの転身者という経歴を活かし、「住宅設備を知り尽くした害虫駆除マスター」として大手家電量販店のリフォームセンター業務に従事。シロアリ駆除から水回りの湿気対策まで、床下に特化した工事を多数手がける。