ベタ基礎でもシロアリ被害は起こる?安心できない理由と正しい対策法
ベタ基礎ならシロアリは来ない――そう思い込んでいませんか?
たしかに、ベタ基礎はシロアリ対策として有効な構造ですが、完全に防げるわけではありません。実際には、ひび割れや配管の隙間などから侵入されるケースが多く報告されています。
この記事では、ベタ基礎住宅でシロアリ被害が起こる原因、侵入ポイント、具体的な対策方法をわかりやすく解説します。
ベタ基礎は「強い」が「無敵」ではない
ベタ基礎とは、床下全体を鉄筋コンクリートで覆う構造で、シロアリの侵入経路が少ないという利点があります。
しかし以下のようなリスクがあるため、「ベタ基礎=安心」と過信してはいけません。
- コンクリートのひび割れや劣化
- 配管まわりの隙間
- 施工不良や基礎外部の構造物の影響
シロアリが侵入する主な原因
ベタ基礎でも、侵入経路が完全に遮断されているわけではありません。ここでは、特に注意すべき原因を紹介します。
1. コンクリートのひび割れ
小さなクラック(0.3mm以下)でも、シロアリは容易に通り抜けます。地震や乾燥収縮でひび割れが発生しやすくなります。
2. 配管まわりの空間
給排水やガス管などの通る箇所は、コンクリートに開口部があり、ここにできた隙間から侵入されやすいポイントです。
3. 外部構造物との接点
花壇・ウッドデッキ・倉庫などが基礎に接していると、そこを経由して侵入されることがあります。
シロアリの侵入ポイント5選
続いて、実際に被害が多い「代表的な侵入ポイント」とその特徴を紹介します。
1. 基礎と土台の接合部
土台と基礎のすき間、防蟻処理のされていない部分は狙われやすい場所です。
2. 配管まわりの貫通穴
特に浴室・洗面所・台所まわりの配管は注意。見た目はきれいでも内部に隙間があることも。
3. クラック(ひび割れ)
施工後のコンクリートに起こる微細なひび割れも侵入経路になります。0.2mmでも油断できません。
4. 外構からの接触
ウッドデッキや物置の脚部が地面と接していると、そこから建物に侵入される可能性があります。
5. 通気口や換気ダクト
床下換気口や配管ダクトの隙間を通じて、外から建物内へシロアリが入り込むケースもあります。
侵入ポイントごとの対策方法一覧
それぞれの侵入リスクに応じて、適切な対策をとることが被害防止につながります。以下の表にまとめました。
侵入ポイント | 具体的な対策方法 |
---|---|
基礎と土台の隙間 | 防蟻コーキング、土台・基礎の再処理 |
配管まわり | 防蟻パテやモルタルでしっかり封止 |
ひび割れ | 防蟻シーリング材で補修、広範囲は業者依頼 |
外構設備 | 木材と地面を接触させない、防腐・防蟻処理 |
通気口・ダクト | 防虫ネット・パッキン・金網で密閉 |
シロアリ被害が多い2種の特徴
国内で被害が多いのは以下の2種です。どちらもベタ基礎住宅に侵入する可能性があります。
ヤマトシロアリ(全国分布)
湿気のある木材を好み、水回りからの侵入が多いです。築10年を超えた住宅での被害が目立ちます。
イエシロアリ(西日本中心)
加害力が非常に強く、ひとたび侵入されると建物全体が被害に遭うリスクがあります。
実例:ベタ基礎でも発生したシロアリ被害
事例①:ベタ基礎に伸びる蟻道【神奈川県・築12年の戸建て】
「ベタ基礎なので安心していましたが、浴室の床が沈んできたため業者に調査を依頼。結果、排水配管まわりの隙間からヤマトシロアリが侵入していました。見えない部分こそ注意が必要と実感しました。」

➡️ 被害レベル:中程度
➡️ しろあり防除士による調査と薬剤処理を実施
よくある誤解と正しい情報
誤解 | 事実 |
---|---|
ベタ基礎ならシロアリは来ない | 隙間や劣化があれば侵入される |
防蟻処理は一度でOK | 5〜10年で薬剤の効果は切れる |
木造じゃない家は安全 | 鉄骨・RCでも内装や床組に木材が使われていれば危険 |
ベタ基礎とシロアリに関するよくある質問
- ベタ基礎なのにシロアリが出たのはなぜ?
- ひび割れや配管まわりの隙間など、わずかなすき間からでも侵入されることがあります。安心せず定期的な点検が必要です。
- ベタ基礎でも防蟻処理は必要?
- はい、必要です。ベタ基礎は構造的に強いですが、建材に木材がある限りシロアリのリスクはゼロではありません。
- 被害に気づいたらどうすれば?
- できるだけ早く専門業者に連絡し、調査・駆除・再発防止策を講じることが重要です。
- 自分でできる予防策は?
- 床下や外構の整理、湿気管理、防虫ネットの設置などが有効ですが、薬剤処理や診断はプロに任せるのが確実です。
まとめ
ベタ基礎はシロアリに対して有利な構造ですが、決して無敵ではありません。小さな隙間や施工不良を放置すると、深刻な被害につながることがあります。
大切なのは、「過信せず、点検・対策を継続すること」です。築年数が経過している場合や、水回りに違和感がある場合は、早めに専門業者へ相談しましょう。