「羽アリを見たけど、その後何も起きていないし大丈夫」
――その判断、本当に正しいのでしょうか?
羽アリは、家の中に潜む“静かな破壊者”シロアリの前兆であることが多く、「たまたまだろう」と見過ごした結果、大きな修繕費がかかるケースも少なくありません。
ここでは、実際に羽アリを放置してしまった5つの失敗事例を通じて、「何が起きたのか?」「なぜそうなったのか?」「どうすべきだったのか?」を具体的に解説します。
【事例1】羽アリを1匹見ただけで放置|3年後に床が沈んで修繕費80万円
羽アリを1匹見たけど放置してしまった家の状況
5月のある日、洗面所で小さな羽アリを1匹だけ見つけた家主。
「1匹だけだし、たまたまだろう」と思って、特に何もせずにそのまま過ごしてしまいました。
地域 | 愛知県名古屋市 |
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築年数 | 築17年 |
発生状況 | 5月、洗面所で羽アリ1~2匹を確認 |
対応 | 「たまたま」と判断し、点検・駆除なしで放置 |
それから3年後、洗面所の床に異変が…。
放置した小さな虫が、家の大きなトラブルにつながっていきます。
羽アリを放置した結果…床がふわふわに沈み込む深刻な被害
3年後、洗面所の床がふかふかと沈み込むようになり、不安を感じて調査を依頼。
床下を開けてみると、土台材がシロアリに食われてスカスカになっていました。
- 修繕費:約80万円
- 床下の木材と壁の一部を全面補修
- シロアリの巣が長期的に定着していたと推定
羽アリを1匹でも見たらすぐ調査すべき理由
羽アリを1匹しか見ていなくても、すでに家の中や床下に巣がある可能性があります。
「様子を見よう」という判断は、一見冷静に見えて、実は最も高くつく選択かもしれません。
- 羽アリは巣からの“使者”である可能性が高い
- 被害が進行しても気づきにくい場所(床下や壁裏)に広がる
- 早期調査・早期対応で被害とコストを最小限に抑えられる
【事例2】市販スプレーで羽アリを処理して放置|翌年に別の場所で再発
羽アリを見かけて市販スプレーで対処した家の話
ベランダに羽アリが大量に出てきたけど、「とりあえずスプレーで退治すれば大丈夫」と思った家主。
自分で処理したことで、問題は解決したと思っていました。
地域 | 埼玉県川口市 |
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築年数 | 築20年 |
発生状況 | 夏の夜、ベランダに羽アリが多数出現 |
対応 | 市販の殺虫スプレーで駆除。「これで解決」と放置 |
しかし翌年、家の別の場所からまた羽アリが…。
見えていたのは、ほんの一部にすぎませんでした。
スプレーで駆除したのに翌年また発生…実は別の場所に巣が
翌年の春、今度はキッチンの床近くで羽アリを目撃。
専門業者に調査を依頼したところ、外構ブロックのすき間や壁の裏に別の巣が見つかりました。
- 初期に見えていた羽アリは“別の巣の一部”だった
- 複数の営巣箇所が存在し、家全体に被害が広がっていた
- 本格的な駆除と修繕で想定外の費用が発生
羽アリを見て“見える場所だけ”対処してはいけない理由
羽アリは、たまたま出てきた虫ではありません。
見えている場所だけ対処しても、家の中に残った巣が次の発生を引き起こします。
- 羽アリが出た場所と巣の場所は異なることが多い
- スプレーは“応急処置”であり、根本解決にはならない
- 床下や壁の内部など、見えない場所に被害が進む
【事例3】賃貸だからと羽アリを無視|退去時に30万円の修繕費を請求された
賃貸アパートで羽アリを無視した結果起きたトラブルとは
「どうせ賃貸だし、自分が出ていくなら関係ない」と思い、浴室近くで見かけた羽アリを何もせずに放置した入居者がいました。
地域 | 大阪府堺市 |
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築年数 | 築30年(賃貸アパート) |
発生状況 | 梅雨時期、浴室の床付近で羽アリを数匹目撃 |
対応 | 放置し、管理会社にも報告せず |
そのまま放置して退去日を迎えましたが、意外な形で「責任」を問われることになります。
退去時の原状回復でシロアリ被害が発覚し30万円請求
退去後のクリーニング中に床下に異常が見つかり、専門業者が調査。
浴室下の木材にシロアリ被害が進行していたことが発覚し、修繕費用は入居者に請求されました。
- 請求額:約30万円
- 修繕範囲:浴室床の土台材、壁の一部
- 被害の進行時期から、入居者の居住期間中と判断された
賃貸でも羽アリを見つけたらすぐ管理会社に報告すべき理由
「賃貸だから自分には関係ない」と思うのは間違いです。
羽アリを放置したことでシロアリ被害が進んだと判断されると、入居者に修繕費の請求が来る可能性があります。
- 羽アリはシロアリ被害のサインである可能性が高い
- 報告すれば管理側の責任になるが、報告しないと入居者責任になることも
- 異常を感じたら、すぐに管理会社や大家へ連絡を
【事例4】新築だからと羽アリを過信して放置|保証切れの5年目で被害発覚
築5年でも羽アリが出た家の実際の状況
「まだ新しい家だからシロアリなんて出るわけがない」。
そう思っていた家主は、ある日、子ども部屋の照明に集まる羽アリを見て驚きました。
地域 | 福岡県糸島市 |
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築年数 | 築5年 |
発生状況 | 6月の夜、子ども部屋の照明に羽アリが集まる |
対応 | 一時的な侵入と判断し、しばらく様子を見ることに |
点検してみると、思わぬ場所に湿気と巣が…。
新しい家だからといって、絶対に安全とは限らなかったのです。
保証期間切れの落とし穴|防蟻処理があっても安心できない理由
防蟻処理は新築時に行われていても、効果の保証期間は多くが「5年」程度。
ちょうど保証が切れるタイミングで羽アリが発生していたことから、施工時の処理だけでは不十分なケースがあると分かりました。
- 断熱材の裏に湿気がこもり、シロアリの巣が形成されていた
- 床下の一部に被害が拡大しており、修繕と再防蟻処理が必要に
- 新築でも「点検」がなければ無防備と同じ状態に
築浅住宅でも羽アリが出る!油断せず点検すべき3つの理由
築年数が浅い家でも、湿気・構造・立地によってシロアリが発生するリスクは十分にあります。
“新築だから安全”という思い込みは、被害を見逃す最大の原因になりかねません。
- 新築時の防蟻処理は「永続的な効果」ではない
- 現代住宅は高気密で湿気がこもりやすくなっている
- 保証が切れる5年目が「盲点」になりやすい
【事例5】売却前に羽アリを放置|買い手に敬遠され80万円の値引き
内見中に羽アリを見つけられてしまった家の状況
家の売却に向けて内見を始めたばかりのころ、リビングの隅に羽の落ちた虫の死骸が数枚落ちているのを見つけた家主。
「たまたま入ってきた虫だろう」と思い、特に対処をしないまま内見を続けました。
地域 | 千葉県市川市 |
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築年数 | 築20年 |
発生状況 | 売却活動中、内見時にリビングで羽アリの痕跡(羽)を発見 |
対応 | 「虫1匹なら問題ない」と判断し、調査や対処をしないまま内見を継続 |
たったそれだけの油断が、売却の流れを止めるきっかけになってしまいました。
羽アリの放置が売却価格の大幅ダウンにつながった結果
内見者から「この家、シロアリは大丈夫ですか?」と指摘され、念のため調査を依頼したところ、
シロアリの被害とまではいかないものの、湿気と木材の劣化が進んでいたことが判明。
防蟻処理と修繕、そして「シロアリ保証書」を発行する再整備が必要になりました。
- 売却活動の中断:およそ2ヶ月
- 修繕・防蟻処理費用:約25万円
- 売却価格:約80万円の値引きで契約
羽アリは“家の価値”にも影響することを知っておくべき理由
羽アリが出た家は、「シロアリ被害があるのでは?」と買主に疑われる可能性が非常に高くなります。
たとえ目立った被害がなくても、点検記録や保証がないと安心材料にならず、
売却額やスピードに大きな影響が出ることがあります。
- 羽アリが出た=家の“劣化サイン”と捉えられる可能性がある
- 調査済・保証書ありのほうが買主の信頼を得やすい
- 被害がある場合でも、早期修繕で価値低下を最小限にできる
まとめ|「まだ大丈夫」と思っている今こそ、羽アリ対策のタイミングです
羽アリは、家の中に潜むシロアリの存在を知らせる“数少ないサイン”です。「見てないから大丈夫」「1匹だけだったし」と油断した結果、数年後に高額な修繕費が発生した例は決して珍しくありません。
特に被害が進行していない今こそ、最小の手間と費用で家を守れる絶好のタイミングです。調査だけでも無料でできる業者も多いため、不安を抱えたままにせず、今のうちにチェック・相談をしておくことを強くおすすめします。
放置するか、行動するかで、未来の出費と安心感は大きく変わります。
羽アリの被害に関するよくある質問
- 羽アリを放置して本当に被害が出た例はあるの?
- はい。羽アリを見て「たまたま入っただけ」と放置し、数年後に床が沈んだケースや、高額な修繕費が発生した例も多数報告されています。
- 羽アリを見て業者に相談しなかった人はどうなった?
- 被害に気づくのが遅れ、巣が広がっていた例が多いです。初期の調査であれば無料や軽微な処理で済む場合もあり、早期相談が重要です。
- 新築や築浅でも羽アリが出た事例ってあるの?
- あります。防蟻処理の保証が切れた築5年の住宅で被害が見つかった例もあります。通気や湿気環境によっては築年数に関係なく発生します。
- 賃貸住宅でも羽アリの被害にあった人はいる?
- はい。賃貸でも羽アリを放置した結果、退去時に修繕費を請求された事例があります。賃貸でも早めの報告がリスク回避になります。
- 羽アリを見たときに、やっておけばよかったと後悔する行動は?
- 羽アリを見たのに「写真を撮らなかった」「発生場所や数を記録しなかった」「専門業者にすぐ相談しなかった」など、初動の遅れを後悔する声が多く聞かれます。